屋上防水の種類とメンテナンス時期について(ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水)
屋上防水とは住宅や屋上の床に施工されている防水層のことです。防水層があることで建物が水から守られ耐久性を保つことが出来ます。
しかし、この防水層は年数が経つと劣化するため、定期的なメンテナンスが必要になります。
防水工事をしないまま放置していると、劣化を止めることが出来ず雨漏りしてしまい建物自体の耐久性を弱くしてしまいます。
とは言え、屋上防水工事はいつやればいいのか、工事にどのくらいの費用がかかるのか不明な部分が多いためタイミングを逃してしまう方も多いでしょう。
そこで今回は基礎知識として、屋上防水の種類やメンテナンス時期などについてご紹介します。
屋上防水とは
前述の通り、屋上防水とは主にビルや陸屋根と呼ばれる平らな屋根(屋上)に施工される防水層のことです。
この防水層によって雨水の侵入を防ぎ、建物の耐久性を維持しています。しかし、この防水層も年数が経つと劣化してしまうので、定期的な防水工事が必要になります。
屋上防水の種類
屋上防水と言ってもどんな防水?となりますよね。屋上に適している防水は大きく分けて3つの種類があります。
ここからは防水の種類についてそれぞれ紹介していきます。
- ウレタン防水
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布する工法です。
施工面(下地)にウレタン樹脂(液体状)を塗布して硬化させ、メーカー規定の厚さの防水層をつくり、トップコートで仕上げます。
粘性のある液体状の防水のため、複雑な形状の施工面であっても馴染みやすく、継ぎ目のない防水層をつくることができます。
耐久年数は約10~13年で、6~7年目にメンテナンス(トップコートの塗り替えなど)が必要です。
・メリット
ウレタン防水は、柔軟性や見栄えの良さがありますが、施工面となる下地がどんな素材でも施工できることが最大のメリットです。
また基本的に、既存の防水層の上に重ねて塗る工法であるため、廃材が出にくく費用を抑えられるという魅力もあります。
・デメリット
メリットで紹介したように魅力的な防水ではありますが、職人の手作業になるためムラなく均一に仕上げることが難しいというデメリットがあります。
そのため、ウレタン防水施工実績数が多く評判のある業者さんに依頼すると良いでしょう。
また、硬化までに時間がかかるため、他の防水層よりも工期がかかってしまうこともデメリットの一つです。
- 塩化ビニールシート防水(シート防水)
塩化ビニールシート防水とは工場で製造された防水シートを張っていく工法です。均一な防水層で仕上がるので、ムラが出にくいです
下地に直接貼り付ける「接着工法」、もしくは等間隔に置いた円盤やディスク板に熱溶着を行う「機械固定工法」の2つの施工方法があります。
どちらとも耐久年数は10~15年です。耐久年数が過ぎると、シートのつなぎ目が劣化してはがれるなどの症状が発生するため、メンテナンスが必要です。
・メリット
紫外線や熱に強く耐候性に優れているため、屋上だけでなく強い日差しが当たるベランダ、バルコニーの床に適しています。
また、耐摩耗性にも優れているため、人が歩行することで起こる摩耗にも強く、鳥がついばんでも穴が開きにくいという特徴があります。
・デメリット
防水性に優れた防水ですが、シートで施工していくので、施工面が平らであることが必須である点がデメリットです。
また、隣り合うシートをきれいに重ねておかないと防水効果が発揮されない難しい工法ため、施工実績の多い業者に依頼するようにしましょう。
- アスファルト防水
アスファルト防水は、液状のアスファルトとシートを重ね合わせていく工法です。
その中でも、防水シート(アスファルトルーフィングシート)の裏面と下地をトーチバーナーであぶり溶かしながら貼り付ける【トーチ工法】、熱で溶かしたアスファルトを用いる【熱工法】、そして熱を使わない常温状態で液状のアスファルト材を使用し、改質アスファルトルーフィング複数枚を交互に積層して張り合わせる【常温工法(冷工法)】の3つに分類されます。
どの工法も液状のアスファルトとシートを組み合わせるため防水性能が高く、その耐久年数は約15~25年です。
・メリット
前述の通り、防水性能が非常に高いという点が一番のメリットです。
防水の中で一番耐久性が高いため、広い面積の屋上や頻繁にメンテナンスが出来ない病院や施設などの屋上に使用されることが多いです。
・デメリット
非常に耐久性に優れた防水ではありますが、施工中に臭いがしたり、工期が他の種類よりも長いというデメリットがあります。
特に、熱工法やトーチ工法は作業難易度が高く、経験が豊富で実績の多い職人や業者に依頼することが必要です。
こんな劣化症状があればメンテナンスを!
屋上防水の主な劣化症状には様々な種類があります。それぞれどんな理由で発生してしまうのか、詳しく紹介していきます。
- ひび割れ
紫外線の影響で表面の防水性が劣化し、ひび割れが発生してしまう症状です。
防水シートの色あせから徐々に塗膜の劣化が進行していきます。
- 塗膜・シートのはがれ
シート防水のつなぎ目部分が劣化しはがれてしまう症状です。
ウレタン防水の場合も防水材が劣化すると塗膜のはがれが発生します。
- 防水の膨れ
防水層の下地が水を含んでいる場合に、その水が蒸発しようとして膨れが起きます。
膨れを起こさないために、屋上などの広い面積・雨漏りしたことがある場所ではウレタン防水の密着工法での施工はやめておきましょう。
- 雨漏り
上記の症状を放っておくとやがて雨漏りへと繋がります。
雨漏りはお家の中でも一番の天敵であり、発生場所を突き止めるのが難しいと言われています。完全に雨漏りを止めたい場合は部分補修ではなく、防水のやり直しが必要です。
また、内部の木部が傷んでいた場合は大工工事も必要になるため大規模工事になる場合もあります。
状況にあった防水工事を選びましょう
ここまで防水の種類やメンテナンスが必要な症状について紹介させていただきました。
お家や建物の環境によって変動はありますが、新築から約7~10年で状態の確認を行うとよいでしょう。
最後にそれぞれどんな建物や条件に適しているかまとめて分かりやすくご紹介します。
- ウレタン防水
液体の防水材を塗っていく作業なのでどんな形の床面でも対応できます。
ただ、防水を乾かす時間が必要なので、一般住宅・アパート屋上などのあまり大きくない(80㎡以下)屋上におすすめです。 - シート防水
シート防水は工場で作られた防水シートを張っていく作業なので、四角く表面が平らの屋上に適しています。
工事中、作業音はしますが、臭いはあまりなく工期も短いので近隣とのトラブルを避けたい方におすすめです。 - アスファルト防水
アスファルト防水は耐久性が高いので頻繁に工事するのが難しい大規模マンションの屋上や病院などにおすすめです。
どんな防水でも定期的なお手入れが必要です。
放置しておくと、劣化症状がでて雨漏りが発生し、屋上だけでなく建物自体の耐久性が下がってしまいます。長持ちさせるために定期的なメンテナンスを心がけましょう。
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