マンションの外壁塗装で補助金は貰える?受給条件も解説

マンションの外壁塗装は、建物の資産価値維持や美観向上のために欠かせない大規模修繕工事です。ただし、工事費用は数百万円から数千万円規模になることも多く、管理組合にとって大きな負担となります。
そこで注目したいのが、自治体が提供する助成金制度です。適切に活用することで、工事費用の一部を補助してもらうことが可能です。
本記事では、マンションの外壁塗装における助成金の種類や受給条件、申請手順について、実例を交えながら詳しく解説します。
マンションの外壁塗装に対する助成金
マンションの外壁塗装に関連する助成金は、主に環境配慮や安全性向上を目的として各自治体が独自に設けている制度です。実際の工事を進める前に、利用可能な助成金の種類と内容を確認することで、より効率的な工事計画を立てることができます。
省エネ対策助成金
断熱塗料や遮熱塗料を使用することで、建物の温熱環境を改善し、エネルギー効率を向上させる工事が対象です。近年の環境意識の高まりを受けて、多くの自治体で重点的な支援が行われています。
工事費用の10~20%程度が補助され、自治体によっては最大100万円まで支給されるケースもあります。
耐震改修補助金
築年数の古いマンションを対象に、耐震性能を向上させる外壁改修工事に適用されます。特に昭和56年以前に建築された建物では、現代の耐震基準を満たすための改修が推奨されています。
工事費用の3分の1程度が補助されるケースが一般的です。耐震診断と組み合わせることで、より手厚い支援を受けられる可能性もあります。
バリアフリー化工事補助金
高齢化社会に対応するため、共用部分のバリアフリー化を含む大規模修繕工事に対して支給されます。外壁塗装単独ではなく、エレベーター設置やスロープ設置などと組み合わせた総合的な改修工事として申請することで、より高額な補助を受けられる可能性があります。
一般的な住宅リフォーム補助金
地域の住環境向上や空き家対策を目的とした制度で、外壁塗装も対象工事に含まれることがあります。特に、街並みの美観向上に寄与する工事については、地域の景観計画に沿った改修として積極的に支援される傾向にあります。
自治体によっては、複数の助成制度を組み合わせることで、より効果的な費用削減が可能な場合もあります。
これらの助成金制度は自治体によって内容が大きく異なり、同じ工事内容でも受給できる金額や条件が変わってきます。そのため、工事を計画する際は、まず居住地域の制度を詳しく確認し、専門家に相談しながら最適な申請方法を検討することが重要です。
マンションの外壁塗装にあたって助成金が支給される条件
外壁塗装の助成金を受けるには、複数の重要な要件を満たす必要があります。自治体によって具体的な条件は異なりますが、一般的な要件をカテゴリー別に整理しました。
申請者の条件
助成金申請には、申請者が満たすべき基本的な資格要件があります。これらは助成金の適正な運用を確保するための基準です。
- マンション管理組合が申請主体であること
- 管理組合として法人格を有していること(自治体による)
- 住民税などの滞納がないこと
- 反社会的勢力との関係がないこと
建物の条件
建物自体にも一定の要件があります。特に安全性と合法性が重視されます。
- 築年数が一定期間を超えていること(多くは築10年以上)
- 申請する自治体内に所在していること
- 耐震基準を満たしていること(昭和56年以降の建築、または耐震診断済み)
- 過去に同じ助成金を受けていないこと
工事内容の条件
工事の質と環境への配慮も重要な要件です。近年は特に環境性能が重視されています。
- 省エネ効果が見込める材料・工法を採用すること
- 指定された塗料(遮熱塗料や断熱塗料など)を使用すること
- 自治体が認定した施工業者が工事を行うこと
- 最低工事金額を超えていること(自治体による)
手続きの条件
手続き面での要件も確実に満たす必要があります。期限や順序が特に重要です。
- 工事着工前に申請を完了すること
- 必要書類を全て期限内に提出すること
- 年度内に工事が完了すること
- 工事完了後の検査に合格すること
特に注意が必要なのは、工事開始前の申請が必須という点です。工事開始後の申請は、たとえ他の条件を全て満たしていても助成金を受けられない可能性が高くなります。
計画的な準備と申請が重要になります。
マンションの外壁塗装で支給される助成金の相場
マンションの外壁塗装に対する助成金の金額は、自治体や制度によって大きく異なります。工事費用の10~20%程度が補助され、上限額は15~100万円の範囲で設定されることが一般的です。
特に、省エネ効果の高い工法や材料を採用する場合は、補助率が上乗せされるケースが多く見られます。
具体的な支給例
各自治体の助成金制度は、環境配慮や省エネ対策を重視する傾向が強くなっています。それらの要件を満たすことで、より高い補助率を受けることができます。
東京都品川区「住宅改善工事助成事業」
- 環境配慮型の外壁塗装:工事費用の10%(上限100万円)
- 断熱改修を含む場合:工事費用の20%(上限150万円)
千葉県我孫子市「住宅リフォーム補助金制度」
- 一般的な外壁塗装:工事費用の15%(上限50万円)
- 複数の環境対策を実施:工事費用の25%(上限75万円)
大阪府摂津市「住宅リフォーム補助金」
- 通常の外壁改修:工事費用の2分の1(上限25万円)
- 省エネ機能付加:工事費用の3分の2(上限35万円)
ただし、予算枠には限りがあるため、申請が集中する時期は先着順で予算が尽きる可能性があります。計画的な申請が重要です。
マンションの外壁塗装の費用相場
マンションの外壁塗装に必要な費用は、建物の規模や施工範囲、使用する塗料の種類によって大きく変わります。一般的な費用相場を規模別に見ていきましょう。
マンションの規模 | 工事費用の目安 | 備考 |
小規模(3階建て・30戸未満) | 440~550万円 | 足場設置費用込み |
中規模(5階建て・50戸程度) | 740~920万円 | 高所作業車必要 |
大規模(7階建て・100戸以上) | 1,480~1,850万円 | 大型足場必要 |
超大規模(10階建て以上) | 2,000万円~ | 特殊装置使用 |
これらの費用は、以下の項目で構成されています。
- 塗装材料費:約30%
- 足場設置費:約20%
- 人件費:約30%
- 諸経費:約20%
なお、築年数が古いマンションの場合、下地補修や劣化部分の修繕が必要となり、追加費用が発生することがあります。また、工事の時期や地域によっても費用は変動するため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
マンションの外壁塗装で使用される塗料と価格
マンションの外壁塗装に使用される塗料は、耐久性や機能性によってさまざまな種類があります。適切な塗料を選ぶことで、建物の保護性能を高め、メンテナンス周期を延ばすことが可能です。以下に、主な塗料の特徴と価格をまとめました。
塗料の種類 | 価格(1缶/15kg) | 耐久年数 | 特徴 |
アクリル塗料 | 5,000~15,000円 | 3~5年 | 最も一般的で価格が安い。基本的な防水性能 |
ウレタン塗料 | 15,000~25,000円 | 5~7年 | 耐候性が良く、柔軟性がある。中価格帯の標準的選択肢 |
シリコン塗料 | 25,000~45,000円 | 7~10年 | 高い耐候性と防汚性。コストパフォーマンスに優れる |
フッ素塗料 | 45,000~100,000円 | 10~15年 | 最高級の耐久性。メンテナンス周期が長く、長期的にはコスト効率が良い |
遮熱塗料 | 35,000~80,000円 | 7~10年 | 省エネ効果があり、助成金対象になりやすい |
光触媒塗料 | 50,000~100,000円 | 10~15年 | 自己洗浄機能があり、メンテナンス性に優れる |
なお、実際の塗装工事では、下塗り・中塗り・上塗りと複数回の工程が必要となり、必要な塗料の量は建物の規模によって大きく異なります。また、近年は環境配慮型の塗料が増えており、これらは助成金の対象となることが多いため、検討する価値があります。
マンションの外壁塗装で助成金を受け取るまでの流れ
マンションの外壁塗装に関する助成金は、申請から受給までに複数の重要な手続きがあります。できるだけスムーズに進めるためにも、必要な手順をしっかりと把握しましょう。見落としやすい細かい要件もあるため、事前の準備が重要です。
住んでいる自治体に助成金の有無を確かめる
自治体のホームページで制度を確認するか、直接窓口に問い合わせましょう。
助成金の種類、申請期間、予算枠などの詳細情報を入手し、期限に余裕を持って準備を進めることが大切です。各自治体で制度が異なるため、近隣地域の情報は参考程度にとどめましょう。
外壁塗装の業者から見積もりをとる
助成金申請には具体的な見積書が必要です。信頼できる業者から複数の見積もりを取得し、工事内容や使用する塗料の仕様を詳細に記載してもらいましょう。
見積書の内容は助成金の申請条件に合致している必要があります。
助成金の申請に必要な書類をそろえる
申請に必要な書類には以下のようなものがあります。
- 交付申請書
- 建物の登記事項証明書
- 工事見積書
- 住民票や納税証明書
- 工事箇所の写真
- 工事計画書
書類の有効期限にも注意が必要です。不備があると再提出を求められ、工事開始が遅れる可能性があります。
外壁塗装が完了するまで待つ
申請が受理され、工事着工の許可が下りてから工事を開始します。
工期中に仕様変更が必要になった場合は、必ず事前に自治体に相談し、変更申請の手続きを行います。変更内容によっては助成金の金額に影響が出る可能性もあります。
工事完了届を自治体に提出する
工事完了後は、施工前後の写真や工事内容の詳細な記録とともに完了届を提出します。
写真は工事の進捗状況が分かるよう、複数のアングルから撮影しておくことが推奨されます。自治体の検査官による現地確認が行われることもあります。
申請書を自治体に提出する
最終的な申請書類の提出では、実際の工事費用や使用した材料など、詳細な報告が求められます。
申請内容に不備がないか、チェックリストなどを使って確認しましょう。書類審査に通過すれば、指定された口座に助成金が振り込まれます。
マンションの外壁塗装で助成金を受け取る際の注意点
マンションの外壁塗装に関する助成金制度は、自治体によって条件や申請方法が大きく異なります。受給に向けて手続きを進める際は、いくつかの重要な注意点に留意する必要があります。
適切な準備と対応で、スムーズな助成金受給を目指しましょう。
申請や認定に時間がかかる場合がある
助成金の申請から認定までのプロセスは、通常1~2ヶ月程度かかります。書類の不備があった場合や、申請が集中する時期は、さらに時間を要することもあります。
特に年度初めは混雑しやすいため、余裕を持った準備が欠かせません。工事の開始時期を考慮し、3ヶ月程度の余裕を持って申請することをおすすめします。
先着や抽選となる可能性がある
自治体の助成金制度は、年度ごとの予算枠が設定されています。人気の制度では申請が集中し、予算枠を超えてしまうことも少なくありません。
その場合、先着順での受付や抽選方式が採用されます。特に年度開始直後は申請が殺到するため、事前に情報収集を行い、申請開始日に備えることが重要です。
使用する塗料を指定される場合がある
近年は環境配慮型の塗料使用を条件とする自治体が増えています。特に、省エネ効果が期待できる断熱塗料や遮熱塗料の使用が求められることが多くなっています。
これらの塗料は一般的な塗料より高価なため、助成金額と合わせて費用対効果を検討する必要があります。また、塗料メーカーや製品を指定される場合もあるため、見積り前に確認しておくことが大切です。
受給の回数制限が設けられている場合がある
多くの自治体では、同一建物に対する助成金の受給回数に制限を設けています。例えば、過去10年以内に受給実績がある場合は申請できないといった条件があります。
マンションの修繕履歴を確認し、過去の助成金受給状況を把握しておく必要があります。また、複数の助成金制度を組み合わせて活用できる可能性もあるため、併用可能な制度がないか確認することをおすすめします。
助成金に関する細かい条件を確認しておく必要がある
助成金の申請には、様々な細かい条件が設定されています。例えば、工事着工のタイミング、施工業者の選定基準、必要書類の提出期限などです。
特に重要なのは、多くの場合、工事開始前の申請が求められることです。工事を始めてからの申請では助成金を受け取れない可能性が高くなります。また、施工業者は自治体に登録された事業者から選ぶ必要がある場合も多いため、見積り依頼の段階から注意が必要です。
助成金を受け取らずにマンションの外壁塗装の費用を抑える方法
助成金の申請が難しい場合でも、工事費用を抑えるための方法はいくつかあります。適切な業者選びと見積もり比較を行うことで、品質を維持しながらコストを最適化することが可能です。
以下に、具体的な費用削減方法をまとめました。
業者の口コミや実績を確認する
信頼できる業者を選ぶことは、追加工事や手直しの防止につながります。施工実績や口コミ評価の確認、実際の施工現場の見学などを通じて、確かな技術力を持つ業者を見極めましょう。
小規模な補修工事の実績なども、業者の信頼性を判断する重要な材料となります。
相見積もりをとる
最低でも3社以上から見積もりを取得することをおすすめします。その際、工事内容や使用する塗料の仕様を統一し、単純な価格比較ができるようにします。
各社の見積もり内容を細かく比較することで、適正な価格帯が見えてきます。施工方法や使用材料の違いにも注目し、総合的に判断することが重要です。
管理会社ではなく外壁塗装の業者に依頼する
管理会社を通すと中間マージンが発生し、工事費用が割高になりがちです。専門の外壁塗装業者に直接依頼することで、その分のコストを抑えることができます。
ただし、業者選定の際は実績や保証内容をしっかりと確認することが重要です。信頼性の低い業者に依頼してトラブルが発生すると、かえって費用が増える可能性があります。
適切な助成金活用とコスト削減で実現する外壁塗装工事
マンションの外壁塗装は、建物の長寿命化に不可欠な大規模修繕工事です。工事費用の負担を軽減するため、自治体が提供する助成金制度の活用を検討しましょう。
助成金は通常、工事費用の10~20%(上限15~100万円)が補助され、環境配慮型の工事では補助率が上乗せされることもあります。申請時は工事着工前の手続きが必須となるため、早めの準備が重要です。
助成金の利用が難しい場合は、適切な業者選びによるコスト最適化も効果的です。当社ミヤケンは、さいたま市桜区・見沼区、川越市、川口市を拠点に16,500棟以上の施工実績を持つ外壁塗装のプロフェッショナルです。
相見積もりの取得や、管理会社を介さない直接依頼も、コスト最適化の有効な手段です。ミヤケンでは、無料相談や見積もり時の詳細な説明、定期点検サービス(1年、3年、5年、10年)の提供など、施工後も長期間にわたりサポートいたします。
外壁塗装は建物の資産価値を左右する重要な工事です。助成金制度の活用と信頼できる業者選びを組み合わせることで、品質の高い工事を適正な価格で実現できます。お客様に最適な工事プランを提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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