瓦屋根の使い勝手は？種類別の特徴やメリット・デメリットなどを徹底解説
瓦は、古くから日本家屋に使われている屋根材です。
トタン屋根または瓦屋根を採用しているケースは、築年数が古い家屋で多く見られます。
新築住宅では瓦屋根を採用している家が少ないですが、ゼロというわけではありません。
そのため、マイホームを建てる時の屋根材候補に瓦屋根を挙げている人もいるでしょう。
今回は、瓦屋根の特徴やメリット・デメリット、メンテナンス方法、メンテナンス費用の相場について解説していきます。
瓦屋根について知りたい人は必見です。
瓦屋根にはどんな種類がある？それぞれの特徴は？
まずは、瓦屋根の種類とそれぞれの特徴から見ていきましょう。
ここでは、比較的多く使われている瓦屋根をピックアップしてご紹介します。
- 和瓦と洋瓦
瓦は、和瓦と洋瓦の2種類に分けられます。
和瓦は、古くからの日本家屋で使われている瓦です。
波打ったような形状が特徴的で、釉薬を使用する陶器瓦（釉薬瓦）と釉薬を使用していない無釉瓦があります。
洋瓦は、元々海外の家屋で使われていた瓦です。
釉薬を使っていない素焼き瓦を、洋瓦と呼んでいます。
日本国内でも洋風な住宅が増えているため、洋瓦を採用するケースも多く見られるようになってきました。
- 陶器瓦（釉薬(ゆうやく)瓦）
陶器瓦（釉薬瓦）は、表面を釉薬でコーティングしてあります。
つやがある見た目が特徴的です。
水が染み込みにくくなっているため、耐久性の高さにも定評があります。
使用する釉薬によって様々な色を出せることも、陶器瓦（釉薬瓦）ならではの特徴と言えるでしょう。
- 無釉（むゆう）瓦
無釉瓦は、いぶし瓦や素焼き瓦などが含まれます。
釉薬を使っていないので、陶器瓦のようにカラフルな色を楽しむことはできません。
いぶし瓦は焼き上げる時にいぶすため、このような名称になっています。
耐久性の高い瓦を使いたいというニーズに応えられる瓦です。
銀色の渋い色合いがいぶし瓦の特徴で、時間の経過と共にムラが発生するものの、かえって深い味わいを生み出します。
素焼き瓦は、前述したように洋風な家屋で使われる洋瓦を指すケースが多いです。
その名のとおり、粘土を焼いた素の状態の瓦を指します。
使う土の色がそのまま瓦に反映されるという特徴があります。
- セメント瓦
セメント瓦は、セメントを主な原料とした材料を型に入れ、形成する人工的な屋根材を指します。
生産コストを抑え、大量生産できるという点が大きな特徴です。
しかし、割れやすいこと、見た目が近年の流行りに追い付いていないこと、などの理由から使われるケースは減ってしまいました。瓦屋根にはこのような種類があります。
リフォームや新築でマイホームを建てる時に瓦屋根を採用したいなら、それぞれの特徴も把握しておくと選びやすくなるでしょう。
瓦屋根を採用するメリット・デメリット
瓦屋根を採用するなら、どのようなメリット・デメリットがあるのか把握しておく事も重要です。
続いては、瓦屋根だからこそのメリットとデメリットをみていきましょう。
【メリット】
- 耐久性に優れている
瓦は、耐久性の高さに定評がある屋根材です。
焼き物なので、非常に持ちが良くなっています。
色あせもほとんどしないので、メンテナンスの頻度もそこまで多くありません。
経年劣化に強い屋根材を探しているのであれば、瓦も選択肢の1つに入ってくるでしょう。
- デザイン性に優れている
瓦屋根は、スレート屋根や金属屋根と比較するとデザイン性に優れています。
釉薬瓦であれば、釉薬によって様々な色を出すことも可能です。
形状は、伝統的で古風なものもあれば、デザイン性が高いモダンなものもあります。
都会の風景にも馴染む洗練された瓦もあるので、瓦屋根＝田舎の家というイメージは覆されるでしょう。
【デメリット】
- 重くなってしまう
瓦は重量がある屋根材です。
大きな地震が来た時の映像を見ると、瓦屋根の家屋が倒壊しているシーンが目に入ってきます。
瓦自体が重たいので、必然的に屋根全体の重量が大きくなってしまうのです。
家屋とのバランスに問題がなければ倒壊するリスクは低くなりますが、重量がある分揺れの影響は受けやすくなってしまうでしょう。
しかし最近の住宅であれば、家屋が崩れる前に瓦が落ちるような設計になっているので、よほど大きな地震が来ない限り、安心して生活できるでしょう。 - カバー工法ができない
瓦屋根を採用すると、カバー工法ができなくなってしまいます。
カバー工法とはスレート屋根にルーフィングを貼って、ガルバリウム鋼板を重ねるという方法です。
既存の屋根材を撤去する必要がないため、人気が高まっています。
しかし瓦屋根の場合は、厚さがあって凸凹しているので、カバー工法の採用は不可となります。
将来的にガルバリウム鋼板に変える可能性は絶対にないと言い切れないのであれば、瓦屋根を採用して後悔するリスクもゼロではないでしょう。
瓦屋根にはこのようなメリット・デメリットがあります。
瓦屋根だからこその魅力もあるので、デメリットも加味した上で最適な屋根材を選ぶようにしてください。
瓦屋根のメンテナンス方法
瓦は耐久性の高さに定評がある屋根材ですが、メンテナンスが不要というわけではありません。
次は、瓦屋根を採用した場合のメンテナンス方法について解説していきます。
- 瓦の差し替え
瓦の差し替えは、割れてしまった瓦だけを交換します。
割れてしまったことが直接的に雨漏りの原因になるわけではありませんが、ルーフィングを保護する屋根材がない状態になるので傷んでしまうリスクがあります。
ルーフィングが傷むと雨漏りが発生しやすくなるので、早めに瓦を差し替えることが重要です。
差し替え自体はそこまで面倒な作業ではありません。
しかし、古い瓦だと同じ形や色を見つけるのが難しくなってしまうケースもあります。
- 漆喰の詰め直し
漆喰は、瓦同士を固定させる役割を担っています。
経年劣化によって徐々にひび割れが生じ、はがれてしまうのです。
はがれたままだと瓦同士を固定する働きがなくなってしまうため、定期的に詰め直す必要があります。
はがれた状態で放置すると、雨水が内部に侵入し、雨漏りの原因になりかねません。
マイホームを守るためには、10年に1回程度のスパンで補修を繰り返すようにしましょう。
- 棟瓦の取り直し
棟瓦は、屋根の頂部に積まれている瓦です。
本来であればまっすぐ並んでいるのですが、地震の影響や漆喰の劣化などが原因で湾曲したり、崩壊したりすることがあります。
棟が崩れてしまうと、屋根全体の強度が弱まってしまいます。
瓦の捲れや落下、雨漏りの原因になるので、早めの対処が必要です。
湾曲などが生じた時はプロに依頼して直してもらいましょう。
- 瓦屋根の葺き直し
瓦の屋根には防水機能を持つルーフィングが敷かれています。
ルーフィングの耐用年数は20年前後となっているので、そのくらいのスパンで葺き直しを検討しましょう。
瓦自体の寿命が長かったとしても、ルーフィングが経年劣化で傷んでしまえば、雨漏りなどのトラブルは防げません。
定期的に屋根の状態をチェックし、瓦やルーフィングの葺き直しを行うようにしてください。
瓦屋根のメンテナンスにはこのような方法があります。
これ以外にも、瓦の塗装や屋根の葺き替えといった方法もあるため、それぞれの状況に合わせて適切なメンテナンスを選んでください。
素人では判断が難しい場面も多いので、専門的な知識を持つ業者に相談してみるのがおすすめです。
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メンテナンスの費用相場はどのくらい？
メンテナンスの費用相場は、どの方法を採用するかによって大きく変わってきます。
また、依頼する業者によっても提示する金額が異なる場合があるので一概にいくらと言い切ることはできません。
相場としては、簡単な補修であれば3万円程度から依頼できる業者も多くみられます。
しかし、屋根の葺き替えなど大規模な修繕になると、約80万～450万円とかなり差が生まれます。
ここまで差が出てしまうのは、家の大きさによって金額が変動するためです。
屋根の形状などの条件も金額を左右する要素になるので、おおよその金額を知りたいのであれば依頼予定の業者から見積もりを出してもらいましょう。
適切なメンテナンスで、お家を守りましょう。
瓦屋根は耐久性の高い屋根として知られています。
洋瓦のように洋風の家屋にも合う種類もあるので、幅広いニーズに応えられる屋根材だと言えるでしょう。
メリットも大きいですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。
メンテナンスに関する知識も身につけておくと、屋根材選びで役に立つでしょう。
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