屋根・外壁を長持ちさせるメンテナンス方法とタイミング
人生に一度の大きな買い物と言われることも多い住まいは、お金をかけた分長く住み続けたいと考える方は多いです。
しかし、住宅は定期的なメンテナンスを実施しなければ長持ちさせることができません。
そこで今回は主に外壁材や屋根材などの外装にポイントを絞り、材質別のメンテナンス方法をご紹介します。
また、メンテナンスをするタイミングなどもご紹介しているので、ぜひご参考ください。
■外壁材の種類別とメンテナンス方法
外壁材は住宅によって種類が異なっており、それぞれで劣化症状やメンテナンス方法なども違います。
まずは外壁材の種類別メンテナンス方法について解説しましょう。
- サイディング
サイディングは主に板状の外壁材をまとめて呼ぶ言葉で、窯業系・金属系・樹脂系・木質系といった種類が存在します。
それぞれ材質が異なるため、表れる劣化症状も違ってきます。
例えば現在サイディングの中でも主流の窯業系は、吸水性が高いことからコケやカビが発生しやすいです。
他にも一般的な劣化症状としてチョーキング塗装の膨れ、コーキングの劣化などが見られます。
一方、金属系はコケやカビが発生しにくいですが劣化するとサビができやすくなります。
また、樹脂系は素材自体に着色されているため色褪せしにくく、チョーキングも発生しません。
それでも一切汚れないわけではないため、定期的に洗浄した方が良いでしょう。
木質系は天然の木材を使用していることから、水分にはあまり強くありません。
劣化してくるとコケやカビ、木材の腐朽などが見られる可能性もあるため、サイディングの中でも一番メンテナンスに気を配った方が良いと言えます。
どの材質でも、表面の塗膜が劣化していることから発生するものですので、まずは高圧洗浄で汚れなどを落として塗装メンテナンスを行うとよいでしょう。
- モルタル
モルタルは昔から日本の建物に使用されてきた素材で、砂と水、セメントなどを混合して作ります。
劣化してくると色褪せやチョーキング、コケやカビの発生、ひび割れ、剥がれなどが見られます。
特にモルタルはひび割れが起きやすいことから、ひびが小さいうちに補修しておくと安心です。
- ALC
ALC(軽量コンクリート)はRC(鉄筋コンクリート)外壁に比べると取り扱いがしやすく、人気の外壁材です。
特にマンションなどの大きめの建物に使用する場合が多く、耐久性の高さが魅力となっています。
しかし、水分に弱くコケやカビが発生したり、内部に浸入すると鉄骨部分がサビてしまったりするため注意が必要です。
水分から守るためにも定期的な塗装メンテナンスを行いましょう。
▼動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください▼
- RC
RC(鉄筋コンクリート)は強度が高く、オシャレなデザインが魅力的ですが、ALCと同様に水分を吸収しやすいという弱点を持ちます。
水分を吸収してしまうとコケやカビだけでなく、ひび割れや鉄骨部分のサビにもつながってしまうためメンテナンスは重要です。
こちらも水分が浸入しないよう、定期的に塗り替える必要があります。 - タイル
タイルは定期的にメンテナンスしなくても良いと言われている外壁材ですが、劣化するとはがれ落ちる可能性もあります。
また、下地にモルタルやコンクリートなどの素材を使用している場合は、下地の劣化によってひび割れが起きたり、タイルが崩れたりする恐れもあるでしょう。
見た目に問題がなくても、ある程度時間が経ったら専門業者に依頼して点検を行っておいた方が安心です。
■屋根材の種類別とメンテナンス方法
次に屋根材の種類別メンテナンス方法も解説していきます。
屋根材は直接雨風や紫外線に晒されている場所なので、メンテナンスの重要性は非常に高いです。
- 金属系
金属系の屋根材にはトタンやガルバリウム鋼板などの種類があります。
トタンはサビが発生しやすく、逆にガルバリウム鋼板は同じ金属系でもサビに強い特徴があるため、それぞれでメンテナンス方法を変える必要があります。
表面をブラシややすりを使って綺麗にした後、高圧洗浄機で洗い、さらにサビ止め効果のある下地塗料と中塗り・上塗り用塗料を塗っていくことで長持ちします。
また、ガルバリウム鋼板はトタンに比べればサビに強い傾向にありますが、全くサビないわけではありません。
そのため、定期的に屋根を水洗いして綺麗にしていきましょう。 - スレート系
スレート系はセメントに繊維素材を混合して作られる素材で、一般的に「化粧スレート」が主流となっています。
化粧スレートは紫外線の影響を受けて色あせが起きやすいと言われています。
また、薄い板状に仕上げているため劣化すると隙間から雨水が浸入して雨漏りを引き起こしたり、積雪があると凹んでしまったりする恐れもあります。
メンテナンスをする場合は瓦部分にズレや外れがないか、棟板金に問題がないかなどをチェックし、必要であれば部分補修または塗装工事を行いましょう。 - セメント瓦
セメント瓦はセメントと川砂を混ぜ合わせて作られた屋根瓦のことです。
劣化してくると水切れが悪くなり、コケや藻、カビが生えてくる可能性があります。
屋根に生えた場合は中性洗剤を薄めてスポンジやブラシで優しく擦れば落とすこともできますが、水切れの悪さは改善されていないため、再度生えてきてしまうでしょう。
また、コケや藻、カビが生えている屋根は非常に滑りやすく、素人が行うと転落する恐れもあります。
安全のためにも、高所での作業は経験豊富なプロに相談するようにしましょう。 - 日本瓦
日本瓦は機能性が高く、メンテナンスがほとんど不要と呼ばれているほどの素材です。
しかし、何らかの衝撃で瓦が破損したり、瓦を固定するための漆喰にひび割れが発生したりすることもあるため、やはりメンテナンスは実施した方が良いと言えます。
また、瓦の他に漆喰が欠けてしまうこともあるため、築後15年が経過したら一度メンテナンスを実施しておくと安心です。
■メンテナンスを行うタイミング
住宅を長持ちさせるにはメンテナンスが重要であることをご紹介してきましたが、実際に行うタイミングはどれくらいの時期が良いのでしょうか?
そこで、新築時からの経過年数ごとに行うべきメンテナンス内容もご紹介します。
- 築10~15年
築10~15年経つと、塗膜が劣化し始めてきます。
その影響で色あせやチョーキングが見られたり、建材の耐久性も低下してくるタイミングです。
これらの症状を防ぐためにも塗装工事が必要です。
外壁や屋根に使われている塗料の耐年数は一般的に10年が目安になっているものも多いことから、この時期に塗装を行うと良いでしょう。 - 築20年以上
築20年以上になると屋根や外壁の汚れ・色あせもかなり目立つようになってきます。
新築を建ててから一度もメンテナンスしていないとなると、ひび割れなども発生しやすく建材に影響を及ぼしている可能性もあります。
「古いけどまだ大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、さらに10年後になるとメンテナンスの有無でリフォーム費用に大きな差が見られるため、まずは点検から実施していきましょう。 - 築30年以上
築30年にもなると外壁や屋根に使われている建材自体も老朽化してきて、ひび割れなどが目立ってきます。
そもそも木造住宅の寿命は30年と言われているため、これまで一切メンテナンスをしていなければ外壁や屋根以外にもガタが来ている可能性は高いです。
築30年以上の家にはひび割れ以外にも様々な劣化症状が表れるため、全体的に補修・リフォームが必要となり、費用も大きくかかってしまいます。 - 築40年以上
築40年以上の建物は、外壁や屋根はもちろん、そのほかの部分でも補修工事も必要となることがあります。
特に建物が老朽化していると耐震性・耐久性にも大きく影響してくるため、より長く住みたい場合はメンテナンスと共に補強も行った方が良いでしょう。
■築年数や劣化症状、材質に適したメンテナンスを行いましょう
今回は、住宅を長持ちさせるためのメンテナンス方法についてご紹介してきました。
各外壁材・屋根材によって劣化すると起きる症状、そして対策も異なります。
それぞれの建材でメンテナンス方法に違いはあるものの、共通して言えるのは「定期的なメンテナンスが必要」ということです。
大切な我が家を次の世代にも引き継いでほしいと考えている方は、今のうちに定期的な点検・メンテナンスを実施して、いつまでも住みやすい環境を維持していきましょう。
【この記事を読んだ方にオススメ】
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