屋根材の種類と代表的な屋根の形状
住宅街にあるお家を見渡してみると、全く同じものはないことがわかります。
外壁や間取りの違いだけでなく、屋根の種類や勾配、形状などそれぞれ異なっています。
屋根は建物の中でそこまで重視していない方は多いですが、住宅の耐久性や外観に大きく関わる箇所です。
今回は、そんな屋根の種類から勾配、形状、リフォームについてまとめてご紹介していきます。
■屋根の種類
屋根の種類は、使用している屋根材によって異なっています。
大まかに金属系・スレート系・セメント系・日本瓦・アスファルトシングルの5種類に分けられます。
ここからは、それぞれの特徴などを解説していきます。
- ガルバリウム鋼板
ガルバリウム銅板は、日鉄住金鋼板株式会社から販売されている銅板です。
耐用年数は40年前後、価格は1㎡あたり6,000~9,000円となります。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
軽量で住宅への負担が少ない・高い耐震性能・多彩なデザインや豊富なカラーバリエーションなどのメリットがある一方、価格の安いタイプの場合断熱性や防音性に劣ります。
本来塗装は不要と言われておりますが、100%劣化しないわけではないため10年~15年で一度メンテナンス調査をしてもらうと良いでしょう。 - 銅板
銅板は厚みによって耐久性が変動します。
新しい銅板であれば10円玉のような色をしていますが、経年により緑青が出て緑色に変わる特徴があります。
耐用年数は60年以上と長くなる分、価格は1㎡あたり18,000~20,000円となります。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
塗装を必要としない点や不燃素材であることから耐火性にも優れていますが、酸性雨や電食があると穴が開きやすくなります。
断熱性や防音性も劣るので、対策が必要です。メンテナンスは不要とされていますが、点検は定期的に行わなければなりません。 - トタン
トタンは亜鉛メッキ銅板のことを言い、安価であることから以前はよく用いられていました。
耐用年数は10~20年と短く、価格は1㎡あたり5,000~6,000円です。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
雨漏りしにくい構造で軽量であることから耐震性にも優れている一方で、防音性が低いことやサビが発生しやすい点がデメリットに挙げられます。
塗装を10年以内のサイクルで定期的に行えばより長い耐用年数を維持することができます。
雨漏りしていれば、葺き替えやカバー工法での補修が必要です。
- 化粧スレート(カラーベスト・コロニアル)
化粧スレートは現在最も使われている屋根材で、カラーベストやコロニアルとも呼ばれています。
繊維をセメントに混ぜ作られており、軽量で耐震性に優れ安価な屋根材である一方、定期的なメンテナンスが必要で劣化によって色褪せたり割れやすくなったりもします。
耐用年数は最大で25年ほどとなり、1㎡あたり4,500~8,000円と価格に幅があります。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
10年~15年に一度塗装が必要です。 - 天然スレート
粘板岩を板状にしており、その名の通り天然素材での屋根材です。
耐候性・耐久性・断熱性に優れていますが、割れやすい素材でもあります。
価格も高いので、日本では宮城県石巻市でしか生産されず海外からの輸入がほとんどです。
塗装は不要ですが、劣化や割れがないか点検を行う必要があります。
- 厚形スレート瓦(プレスセメント瓦)
セメントと砂が主原料となっている厚形スレート瓦は耐熱性に優れ、カラーバリエーションも豊富な屋根材です。
和形・平形・S形といった形状があり、耐用年数は30~40年ほどで、価格は1㎡あたり6,000~8,000円とされています。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
デザインの種類が豊富で、日本瓦に比べて安価なのでよく用いられています。
台風などで瓦がずれてしまうことや塗装が劣化してなくなると割れやすくなります。15年のサイクルで屋根塗装が必要です。 - コンクリート瓦(モニエル瓦)
厚形スレート瓦よりもセメントの含有量が少ない屋根瓦です。
屋根の厚さや重量は日本瓦とそう変わりませんが、安価でカラーバリエーションも豊富となっています。
洋風な住宅に用いられることが多く、耐久性にも優れています。他の屋根材に比べて重量であることから耐震性には劣り、現在では販売を中止しています。
メンテナンスは厚形スレート瓦と同様に、15年ごとに塗装を必要とします。
屋根材の中でも最も耐久性が高く、もともと色のついた粘土を焼き付けて出来ているため、塗装メンテナンスの必要がありません。
耐用年数は100年以上ともされるほどです。重量があり厚みもあるので断熱性や耐熱性も高くなりますが、その重量から耐震性に劣ります。
アスファルト塗装したグラスファイバーの表面に細かな砂などを施してアクリル樹脂で固めた屋根材で、軽量で傷のつきにくさが魅力です。
耐用年数は20~30年ほどで、価格は1㎡あたり6,000~8,000円です。※あくまでも相場になりますので、実際の金額はお問い合わせください。
10年に一度のサイクルでメンテナンスが必要となりますが、用いるものによっては30年以上メンテナンスを行わなくても良いものもあります。
■屋根の形状
屋根の形状は勾配屋根と陸屋根に分類され、一般的な住宅の屋根であればほぼ勾配屋根が採用されています。
ここからは、屋根の形状について解説していきます。
- 切妻屋根
切妻屋根は三角屋根とも呼ばれている、雨漏りのしにくい急勾配屋根です。
屋根裏にスペースができるので収納にも活用しやすい点やシンプルな構造から費用が抑えやすい点がメリットとなります。
一般的な形状となるので、個性は出しにくいです。 - 寄棟屋根
屋根の頂上部から4つの方向に屋根面が分かれている屋根で、切妻屋根と同様に一般的な屋根の1つとされています。
耐久性に優れ、台風にも強い構造となっていますが、1つの屋根面が小さく屋根裏スペースも取りにくいです。 - 方形屋根
方形屋根は頂点部分から4方向に同じ角度・面積で作られた屋根で、ピラミッド状をイメージしてください。
太陽光や雨風に強く耐久性が高くなりますが、ソーラーパネルの設置は難しいです。 - 片流れ屋根
一方向にのみ屋根が下がっている片流れ屋根は、一枚板の屋根でもあります。
シンプルな構造なので施工やメンテナンスのしやすいメリットがありますが、風の影響を受けやすいデメリットもあります。
- 入母屋屋根
日本の伝統的な造りの屋根で、古い家によく見られる形状です。
構造が複雑なので施工やメンテナンスが難しくコストも高くなりますが、その分重厚感のある外観になります。 - 招き屋根
屋根が段違いになっている形状で、差しかけ屋根とも呼ばれています。
構造として屋根裏スペースが造りやすいので、収納に活用しやすくなりますが、段違いであることから雨漏りしやすい側面があります。 - はかま腰屋根
切妻屋根と寄棟屋根が合体したような形状で、ドイツ屋根などとも呼ばれます。
高さ斜線制限が設けられている際に、先端部分を低く抑えられます。
ただし、構造が複雑化するので雨漏りしやすいリスクがあります。 - 陸屋根
平面の屋根で、屋上スペースとして活用できるようになっています。
一方、通常の屋根に比べて平面で勾配少ないため、雨漏りのリスクがも高くなります。
■屋根の勾配
屋根の勾配は、急勾配屋根・並勾配屋根・緩勾配屋根の3種類あります。
ここからは、それぞれのメリット・デメリット・適した屋根材をご紹介していきます。
- 急勾配屋根
急勾配であればそれだけ屋根の水はけが良くなるので、雨漏りしにくく屋根材へのダメージも少なく済みます。
一方、建築費が高くなってしまったり、メンテナンス費用が高くなってしまったりすることもあります。
6寸以上の勾配となるので、基本的にどの屋根材も使えます。 - 並勾配屋根
並勾配は3~5寸までの屋根勾配で、最も普及している勾配です。
個性は出しにくくなりますが、デザインは豊富で4寸以上であればほとんどの屋根材が適用できます。
●緩勾配屋根
緩勾配は3寸以下の勾配で、雪国などで落屑防止のためによく用いられています。
雨漏りの危険性が高まりますが、風の影響を受けにくいほか、コストを抑えられるなどのメリットもあります。
屋根材はガルバリウム銅板が適しています。
■屋根の形はリフォームで変えることができる
屋根の形は、リフォームすることで変えられます。
屋根の勾配と形状が変えられるようになっているので、雨漏りで悩んでいる場合には根本から解決する可能性もあります。
ただし、屋根の勾配や形状のリフォームには多額の費用が必要です。
しかし、雨漏りを放置すれば構造自体の劣化につながってしまい、何度も補修が必要となり結果的にコストが多くかかってしまいます。
リフォームすることで早期解決が可能であれば、検討してみるのも良いでしょう。
今回は、屋根について屋根材から勾配、形状をまとめて解説してきました。
屋根は住宅の機能性や外観において、重要なものです。
業者によって得意な屋根材なども異なっているので、事前に確認してから依頼することをおすすめします。
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