外壁の塗膜がはがれる原因と対処法
外壁塗装は住宅の外観を美しく見せる大切なものですが、経年劣化とともに塗膜がはがれてくるため、補修として再塗装が必要と言われています。
では、外壁塗装をしたばかりにも関わらず、塗膜がはがれてきた場合は何が原因なのでしょうか?
塗膜が2~3年以内ではがれてきたのであれば、施工不良の可能性があります。
今回は、外壁の塗膜がはがれる様々な原因と、対応策・予防策をご紹介します。
大切な住宅にダメージを与えないようにするためにも、塗膜のはがれの原因を早期に見極められるようにしましょう。
■塗膜がはがれる原因
どのような外壁塗料にも耐用年数がありますが、それ以前にはがれてきた場合、何が原因なのでしょうか?
まず初めに、塗膜がはがれてきてしまう原因を7つご紹介します。
- 下地処理が不十分
考えられる原因の1つに、下地処理が不十分であった可能性が考えられます。
通常、外壁塗装をする前には、塗料の密着性を高めるため外壁材を綺麗な状態にする下地処理を行います。
下地処理には、高圧洗浄や足付け・脱脂・清掃・殺菌など様々な工程によって進められていきます。
汚れを十分に落とす洗浄作業は、塗料を塗る上で必須作業です。
しかし、下地処理が不十分だった場合、汚れたままの外壁材にそのまま塗料を塗ることになり、塗料が密着しにくくなってしまいます。
- 下地や塗料の組み合わせが悪い
外壁塗装は、下地・下塗り・中塗り・上塗りといったように、三度に分けて塗料を塗っていきます。
こうした三度塗りには、下地と下塗り・下塗りと中塗り・中塗りと上塗りのように、前後に塗る塗料の相性が非常に重要です。
通常は相性が良い塗料の中から採用しますが、相性が悪い塗料を選んでしまった場合、固まりにくくなり、早期に塗膜が剥がれる可能性が高くなります。
- 希釈が不適切
塗料は原液のままではなく、水やシンナーなどの希釈材を足すことで塗りやすくしています。
希釈材をどのくらい足すのかは、塗料の種類やメーカーによっても様々です。
仮に指定された希釈率に従わなかった場合、塗膜が剥がれる原因になります。
希釈材を混ぜ過ぎた場合、より少ない塗料で済み、多くの面積を塗れることを良いことに、故意に不適切な希釈をしている悪徳業者もあるため注意しましょう。
- 下塗り不良
外壁塗装は三度塗りが一般的ですが、特に下塗りは中塗りと上塗りの密着度を上げるために重要な役割を果たしています。
下塗りを省略した場合、塗料が下地に密着せず短期間で剥がれてしまう可能性があるでしょう。
たとえ下塗りをしていても、下塗りが不足している状態は早期に剥がれてしまいます。
特に劣化が激しい下地は、下塗りを十分に行う必要があります。
- 乾燥不足
下塗りだけでなく、塗料を塗った後は必ず乾燥時間を設けなければなりません。
塗料の種類やメーカーによって、塗装感覚時間が記載されているので、必ずその時間を守り、適切に作業する必要があります。
乾燥時間を守らずに次の塗料を塗ってしまうと、塗膜が固まりきっていない状態のため、十分な粘着力を発揮できません。
本来であれば長持ちするはずの塗料でも、乾燥不足が原因となり、数年で塗装が剥がれる可能性があるのです。
- 塗膜の硬化不良
使用する塗料によっては、硬化剤を混ぜてから使う種類があります。
例えば、ポリウレタン樹脂塗料は、2液硬化塗料と呼ばれており、硬化剤を混ぜることが前提です。
しかし、硬化剤を入れ忘れたり混合比率を誤ったりすると、硬化不良が起こります。
また、硬化剤は水に反応しやすいものがあるため、塗装後に結露や雨などで濡れると、適切に塗っていたとしても硬化不良を起こしてしまうのです。
- 下塗りと中塗り、中塗りと上塗りの間隔があく
下塗り・中塗り・上塗りはそれぞれ乾燥時間を設けなければなりませんが、それぞれの間隔が空き過ぎるのも要注意です。
特に下塗りと中塗り、中塗りと上塗りの間隔が空き過ぎると、塗膜の表面部分が劣化してしまいます。
さらに、間隔が空いたことで汚れや異物が付着していた場合、塗料の密着力が弱くなる可能性があります。
■塗膜がはがれを放置すると危険な理由
ここからは、塗膜のはがれを放置してしまった場合の危険性を2つご紹介していきます。
- 新築でも美観性が低下する
塗膜がはがれると、大半の方は「外壁がボロボロ」という悪いイメージを持つ方が多いでしょう。
それが例え新築であっても古い家と思ってしまいます。
しかし、剥がれという劣化現象は、塗装が寿命を迎える前に起きてしまうケースも多く、
新築からわずか数年経った家で起きる可能性もゼロではないため、せっかくの綺麗な外観が、塗料の劣化で台無しになってしまいます。
- 外壁の保護が無くなる
外壁塗装の第一の目的は、塗装の内側にある外壁と、さらにその内部にある建物自体を守ることです。
そのため、塗装がはがれてしまうと外壁が守られず、外壁材は屋外の紫外線や雨水、強風や汚れで内部の防水シートまでどんどん劣化し、家そのものにまでダメージが及んでしまいます。
このような状態で長い間放置されてしまった家は、しっかりメンテナンスが施された建物よりも早く、耐久性を失ってしまうでしょう。
■外壁塗装がはがれたときの対応
塗装のはがれを見つけたら、どんなに小さなものでも必ず補修しなければなりません。
適切に対応せず放置すると、はがれた部分の周囲や住宅の内部にまで影響し、大掛かりな補修や工事が必要になる場合があります。
では、外壁塗装がはがれてしまった場合、対応策としてはどのようなものがあるのでしょうか?
- 施工業者に連絡する
まずは、塗装を行った業者に連絡しましょう。
連絡後、速やかに剥がれの状態を点検してもらいます。
点検時には、塗装を実施した年月日・どこがどのくらい剥がれているかを詳しく伝えてください。
- 施工資料や保証内容を確認する
施工当時の資料として、契約書・見積書・保証書があります。
これらを見ながら、使用した塗料・工事仕様を確認し、保証箇所・保証範囲・保証期間・保証内容をチェックします。
外壁塗装をしてから日が浅い場合は、保証期間内である可能性が高いです。
保証内容など不明点は、必ず確認が必要です。
- 補修方法・費用を確認する
施工業者の点検が完了したら、補修の見積もり書を出してもらいましょう。
剥がれによる補修は、原因や状態によって補修方法や費用が異なります。
一部の塗り直しを行う「タッチアップ」と呼ばれる補修の場合、費用は1~3万円程度です。
しかし、補修箇所が広範囲で足場の設置や外壁材の張り替えが必要な場合、費用は20万円以上になる可能性があります。
■塗膜のはがれは放置NG!
いかがでしょうか。ここまで塗膜のはがれの原因・対処方法をご紹介させていただきました。
塗膜のはがれは一見、経年劣化で生じているように思えますが、実は施工不良で起きやすい劣化としても知られており、ご自宅の外壁で施工不良でのはがれが発生する確率はゼロではありません。
高い専門スキルを必要とする外壁塗装では、下地材の選定ミスや手抜きによって、簡単に施工不良が起きてしまいます。
未熟な業者はもちろんのこと、わざと手抜きを働くような悪質な業者に依頼してしまわないように、リフォーム瑕疵保険などの保証体制が万全な、優良な塗装業者に依頼しましょう。
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